超楽しい地獄

オタクの独り言

報われない少年と変わらない少女。ふたりはきっと似たもの同士。

舞台モールス観てきました。
ネタバレも含むと思われます。ご注意ください。





私はどうしてもあの終わり方がハッピーエンドとは捉えられない。
だって、きっとまた同じことを繰り返してしまうと思うから。
オスカーは彼女と出会って変わった、それはとても良い変化だった。
でも、最後に彼女の手を取ってしまったことがまた彼もエリを神とし、愛していたあの彼と同じ道を辿るのではないのかと思うと私は辛くて最後の列車のシーンで目を背けたくなった。
聞いた話だがヴァンパイアは人を魅了する力を持っているらしい(特に女性のヴァンパイア)
故に神としたあの男もオスカーもヴァンパイアであるエリに魅了されてしまったのだろう。
エリも「人を頼らないと生きていけない」のようなことを言っていたが、その力で人を魅了し、何百年も生きてきたのかと考えたら、私はオスカーのことを本当に報われない少年だと思ってしまった。
2人の間に愛があるとしても半分はエリが生きるためにオスカーは利用されている気がしてならないからだ。
それでも幸か不幸か似たもの同士のふたりは出会ってしまた。これはどうしようもない運命だ。それでもふたりでいることを選んだ彼は幸せなんだと思うと、本当にラストのシーンは目を背けたくなった。


話は変わるが、
オスカーはどうしようもなく報われない少年で居場所もなくって、たくさんたくさん不満を持っていたんだろう。

でも、エリに出会って変わった。
勇気を持ち始めた、立ち向かうようになった。それはきっと近くにいて手を差し伸べてくれる存在が現われたから。

エリも変わった。
彼女も本当は優しい子なんだ。
大切な人は放っておけない優しくて強い子なんだ。

きっと、ふたりは似てたんだ。だから惹かれてしまった。
たくさんの人を犠牲にしても二人でいることを選んだんだ。
でも、きっと、ふたりはたくさんの人を犠牲にしたなんて思ってないんじゃないかって。
犠牲にして然るべきだと、近くにいても手を差し伸べてくれないから。


ふたりはきっとまた同じことを繰り返すと思っている。
オスカーは年老いて、エリは変わらなくて。
変わっていく少年と変わらないけど変わっていく少女。
きっとオスカーもまたエリを神とした男のように自分が変わってしまうこと罪悪感を持ち、変わらない彼女に寄り添おうとする。
彼女もまた、年老いて何もかも変わってしまった彼を許容しきれなくなっていくんじゃないか。

報われない少年はエリの手を取って、きっと幸せになるだろう。
本当の結末はどうであれオスカーは変わったのだ。


そして、

            "僕の友達になってくれない?"

この言葉が胸に刺さった。 
普通の男の子ならエリに出会って真っ先に口に出来る言葉なのに、彼はこの一言すら言えないんだ、強がって。


私は思う。
友達以上の存在を見つけた彼は幸せになれたのだろうか?
私にはハッピーエンドとは思えないラストだがきっと彼は幸せだろう。

居場所と手を差し伸べてくれる愛しい人が見つかったのだから。


気持ちの整理がつかないまま思いの丈を書きました。散文失礼しました。