地元
半径15m、地元ですべて終わる女の子になりたかった。
半径が広がれば広がるほど、手に入らないものが増えていく。夢見てしまう。
地元、大嫌いだった。
何もないし、コンビニはあるけどコンビニじゃ私のほしいものないし、本屋もCDショップもデパートも全部潰れた。治安悪くて全国で3本の指にはいるらしいよ。年寄りばっかで今日も駅歩いてたら、荷物のせる台車持ったおばーちゃんにその台車で足轢かれたし、謝んないでどっか行くし、ありえない。なんかあってもおまわりさん何もしてくないっていうか、この土地問題多すぎてすごい忙しそう。あと地元の高校生がたまるカラオケもサイゼも行くにはちょっと遠い。ちょっと歩いたら急に田んぼと畑あるし、土手とかあるし、透明度低い川流れてるし、嫌だった。
地元から出たくて、早く出たくて、でも実家からは出られないから、大学は実家から通える地元じゃないとこ選んだ。キャンパス、私の地元よりクソ田舎だけど通う途中おっきなショッピングモールがあって定期で行けるし、地元より全然良かった。進級すれば都内に通えるし、全然良かった。
推しが地元来たとき、『こんなさびれたなんもないとこになんで?』って思った。箱広くないし、中学のときなんてそこで合唱コンクールやった、それくらい狭い。そんな場所で推しだけは地元の地名呼んでくれて嬉しかった。大きく括らないで土地の名前を出してくれて嬉しかった。この話ずっと言い続けてきたけど、初めてここに住んでて良かったなって思った。
半径拡げてしあわせになれたし、楽しいって思った。でも、拡げれば広げるほど比較してしまう。拡げれば広げるほどしあわせじゃなくなったときに地獄を見る。なんでかな、地元で全部済むような女の子にはなれなかった。地元に呪われてる。半径広げても地元から出れないんじゃ、やっぱり半径拡げたって言わない意味ない。今からじゃ、ミーハーで人並みで良くて地元で彼氏作って結婚して夕飯ファミレスで満足するような女の子にはなれない。でも、そういう生き方のほうがしあわせなんじゃないかって思った。
全部普通じゃなかったから、普通の普通にあるしあわせを求めちゃダメなんだよ、多分、知ってた。
やっぱり地元大嫌い。