超楽しい地獄

オタクの独り言

紫色オーバードーズ

 『何が美味しくてこんなもの飲んでたんだろう。』

久しぶりに飲んだ紫色の野菜ジュース。高校生の頃はよく飲んでいたけど、今飲むと何が美味しかったのかわからない。

 

 高校2年生、私はメンタルをこじらせた。

1年生の終わり、私は全てをやめた。部活もやめた、勉強も諦めた、何が楽しいかなんてわからなかった。ずっとずっとケータイを眺めていた。全てをやめて新しくなった高校2年生の私は空っぽだった。新しいんじゃない、何もなくなった。

 ある日いつも通りぼんやりケータイを眺めていたら、“紫色の野菜ジュースをオーバードーズするとかわいい”みたいなツイートを見た。そう、ちらっと見ただけ。それが、紫色の野菜ジュースを飲みだしたきっかけ。

 

 

 飲みだした頃、バイトをしていた私はお金があった。だから、毎日いろんなものを、命を、削るように、紫色の野菜ジュースを飲んでいた。それがかわいいと思っていた。

たくさん飲んだ、美味しくないと思っても飲んだ、毎日、ひたすら毎日飲み続けた。

でも、そんなかわいい野菜ジュースではオーバードーズできなかった。

それにしばらく飲み続けたけど、かわいくオーバードーズできなかったし、受験理由にして(今考えるとブラックな)バイトも辞めたからお金がなくなったから、私は紫色の野菜ジュースを飲むのをやめた。

 

 

 それから数ヵ月後の夏。たしか夏休み、8月あたり。私は、もどすようになった。ご飯もあんまり食べたくないし、いつも気持ちわるいし、いつだって泣きそうで、泣いて、いつもひとりで、さみしかった。もどした理由は、周りが言うに『受験のプレッシャーだろう』ということらしい。でも、私は、そんな理由じゃないことを知っている。でも、その話はまた今度。

 

 

 初めてもどした時に、どうして紫色の野菜ジュースを飲んでいなかったのか後悔した。だって、紫色じゃなくてかわいくなかったから。でも、その時の私は生きてることを実感できたから、キラキラしていたからかわいかったと思う。もっと早くそれに気づけば良かったのに。

 

 

 

 今の私は、オーバードーズも紫の野菜にも依存せずに生きている。

生きてることも、キラキラすることも、かわいいことも何もなく生きている。でも、あの時と同じようにひとりぼっちでさみしく生きている。でもたまに生きてることを実感したくて紫色の野菜ジュースを飲みながら生きていくんだ。

『何が美味しくてこんなもの飲んでたんだろう。』とつぶやきながら。