超楽しい地獄

オタクの独り言

さよなら、東京。

 ずっと、ずっと、永遠に憧れだった。

煌めくネオン、静かになる賑やかな通り、田んぼや川なんて知らなさそうな若者たち。

 

 

東京はずっと私の憧れの街だ。今もなお、きっとおばあちゃんになっても、死ぬまでこの街に憧れ、恋い焦がれているのだと思う。

 

 

小さい頃から、きれいな景色に興味がなかった。旅行で見た穏やかで色彩豊かな景色より、家から少し遠くに見える東京タワーの光のほうが好きだった。

 

 

 

大きくなって、20歳を過ぎて、色々なところに行くようになった。行く用ができた。

年末の有楽町、明け方の年始の原宿、春の銀座、夏の渋谷、秋・冬の新宿、全部が鼓動を速くさせる。

 

 

23時を過ぎた渋谷をスーツで駆けた日、楽しくて楽しくて仕方がなかった。スクランブル交差点も、カップルかどうかもわからない男女が行き交うラブホ街も、これから賑やかになる明かりの眩しい通りも、地元には絶対いない愉快な人たちも、みんなみんな足りない何かを埋めてくれた。

 

 

できることなら、人もまばらになった時間、シャッターが閉まった通りを笑いながら、明日のことなんてどうでも良くなりながら、転げるように走り回りたい。

 

東京の夜に溶けてしまいたい。

 

早く、渋谷を、新宿を、永遠の一瞬を切り撮ってほしい。

 

東京の中心街に永遠をおいて生きたい。

 

 

でも、私は今日も憧れの街に背を向ける。

歩く速度だけ東京に染まりながら、何にもなれないまま東京に別れを告げる。

また明日、夢の中で、ネオンの中で会いましょう。