最強のエレガンスに憧れて。
中学生の頃に読んだKERA!というファッション誌。
その中の1人のスナップ写真を覚えている。
その人は、ヴィヴィアン・ウエストウッドの赤いハートの形をしたバッグを持っていた。
それが、ヴィヴィアン・ウエストウッドとの出会いだった。
そこからずっとずっとヴィヴィアンのそのバッグが欲しいと思い続けている。
ヴィヴィアンの服を着たい、靴を履きたいと思っている。
パンクは詳しくないけれど、セックス・ピストルズの曲は聴いた。でも、やっぱりまだまだわからない。
今回は、ドキュメンタリー映画
最強のエレガンス
映画「ヴィヴィアン・ウエストウッド 最強のエレガンス」公式サイト » 映画「ヴィヴィアン・ウエストウッド 最強のエレガンス」公式サイト
を観てきました。
※ネタバレ注意
開始数分で自分の作った服を「酷いわね」と言うヴィヴィアン。
こちらとしては、どの服も魅力的だったので『そうか…』という気持ちに。でも、この素敵な服がヴィヴィアンの満足いくようになったらどれだけ強く美しい服になるのか興味があった。
ヴィヴィアンの最初の旦那さんと別れた理由が「知的好奇心を満たしてくれなくなったから」だった。同時に「外の世界が見たい」と。ただ、添い遂げる気ではいたらしい。それでも、知的好奇心には勝てなかった。
知的好奇心が満たされない人と一緒にいることは確かにつらい。
ライフステージが変われば、外の世界を見る時間も学ぶ時間も減っていくと感じる。
とにかく彼女は強い。
インタビューでセックス・ピストルズについては「悲しくなるから」と頑なに話していません。話したくないことは話さなくていい。
美術館に所蔵されているセックス・ピストルズの衣装。囚人服のように見える服。KERA!読者時代、あれすごい憧れたなあ。
ヴィヴィアンが20年経ってデザイナーオブザイヤーで賞を取ったのを初めて知りました。異端は弾かれるというのをまざまざと感じた。授賞式で着ていたドレス、素敵だった。
デザイナーがTVのコメントで継続性とデザインに理念がないみたいなとにかくヴィヴィアンのことを酷く言っていたのですが、ヴィヴィアン自体は服にメッセージを込めることが好き(周りにすごい言われてる)し、彼女自身が理念の塊みたいだからその人が作った服なのでそんなことはないだろ?と思ってしまった。
これを言われた翌年も大賞を受賞して、異例の2年連続受賞に輝くので、大外れだったな!
キリストの受難を見てから、これを教えてくれなかった父と母、そして周りを信じず、自分を信じようと決めたという。
彼女の知的好奇心はここからきているのかもしれない。
ヴィヴィアン・ウエストウッドはとにかく自分の"好き"を大切にしている人だということがこのドキュメンタリーを通して思ったことだった。
知的好奇心もそう。いくつになっても高いヒールを履き続けていたり、愛する人を大切にしたり。
ヴィヴィアン・ウエストウッドというブランドが彼女の目の届かないところにあるのが納得いかないのもよくわかる。規模が大きくなれば、彼女の"好き"では立ちいかないから。
ヴィヴィアンの知らない間にたくさん支店が増えていた話の時に、
「ビニールの靴、何億足売ったら気がすむの?」
と言っていたのが忘れられない。
彼女の息子さんが、ヴィヴィアンを"パンクの申し子"と表現した。その通りだ。
彼女は、憧れだった。持っている天才的才能と自分の好きを大切にしながら生きている。間違ってると思えば声に出す。そして、学ぶことを幾つになっても忘れない。
私も、強く逞しく"好き"を大切にしながら生きていきたい。ヴィヴィアン・ウエストウッドが似合う人間になるんだ。そう強く強く思わせてくれた。
余談なのですが、ひと席空けた隣が予告中にダッシュで入ってくるわ、上映中にガサガサ紙袋音立てるわ、なんかビニールの音してパン食べてるわであまりにも煩かったのが悲しい。食べてもいいけど出来るだけ静かに。ここは、ランチする場所じゃなくてよ。パンの感想を述べるな。
スコーンがクリームもついて1つ¥120、紅茶も¥300〜ととにかく安い。しかもスコーンの種類が豊富。全部食べたくなってしまう。
今回は、ラムレーズンスコーンとダージリンを頂きました。とても美味しかったです。
ヴィヴィアン・ウエストウッド、彼女が搔きまわす世界ならまだもう少し生きてもいいかな。