話したくなったから

君色に染まるまで、わがままに。

コスメで魔法をかけ続けるための対価。~浪費図鑑を読んで振り返る浪費~

 コスメは私にとって魔法の道具である。

推しの現場に少しでもきれいにしていきたい。頑張って少し疲れた私へささやかなご褒美に。日常を健やかに過ごすために。コスメはどんなときも私に魔法をかけてくれる。私の元に魔法使いは現れなかったけど、魔法をかけてくれるコンパクトやルージュ型のステッキが簡単に手に入ることを知ってしまったのだ。

こんな素敵な魔法、知ってしまったらもうやめれない。私は魔法をかけ続ける。魔法をかけ続けるのと引き換えに私はお金を失っていく。失うというと言葉が悪い。浪費というのも何か違う。そうだ、私は対価を払っている。魔法にかかるために対価を払っているだけだ。

 

 魔法に初めて対価を払ったのは高校2年生の頃。

初めてのアルバイトを受験のため、辞めることになった。当日好きだったアイドルのライブにかわいくして行きたくて、ジルスチュアートでリップを買った。キラキラ輝く店内、お花やレースのような装飾が施された化粧品たち、きれいで良い香りのBAさん。この空間にいるだけでかわいくなれた気がした。私は一瞬で虜になった。

 

その日から数年。もう考えるのはやめた。過去に使ったお金もこれから使うお金も考えるのはやめた。考えたら多分なんの懺悔かわからないが懺悔の気持ちで臓器を売り飛ばしそうだからだ。

 

人から見たらこれはとんでもなく無駄なことだと思う。コスメを買うくらいなら美容整形したほうがいいと言う人もいることはわかる。毎月こんなにお金を美容整形したほうがいいと思ったこともあった。

でも、それとこれとは違う。美容整形は元から変えることだ。元を変えることは魔法をかけることではない。魔法で無理やり時空を歪めることと同じな気がした。私は人の手を借りずに、時空も歪めずに、自分の力で魔法をかけたいと思うのだ。

 

例えば、今日は二重にしたい。明日は一重のまますっと黒のアイラインを引きたい。今度はまつげを盛ってカラコンを入れて少し強めにしたい。この服ならほっぺにまあるくピンクチークを入れてかわいくしたい。

 

コスメはぜーんぶそれを叶えてくれる。最近は一重で生まれてきて良かったなとも思う。かと言って美容整形を否定するわけではない。リスクを背負ってでも美しくなりたいと思うことはかっこいい。私は無理だ。それに美しくなることに貪欲で強い想いをもつ人たちはもう既に美しいなとすら思うのだ。新しい私になろうとする人たちをすごく尊敬する。

 

でも、私はわがままだから、痛いのは嫌。でもきれいにはなりたい。あと少しくらいマシな顔で居させてほしいと駄々をこねる。

そんなわがままな私はコスメで魔法をかけ続ける。これが無駄だとか浪費だとか言われてもいい。だって幸せなんだもの。私の顔が手のひらに収まるリップで、アイシャドウで、チークで変わることが。

 

最後に、好きな言葉がある。

"あたしはあたしがつくったのよ えらんであたしになったのよ"

これは漫画ヘルタースケルターに出てくる言葉だ。

魔法をかけるのは私。こんなふうになりたいと日々思い描き、選ぶのも私。

 

コスメが好きな私を、コスメに対価を払う私を肯定しよう。1日で解ける魔法を、私はこれからも毎日かけ続ける。